上牧太郎之助は私の高祖父であり、飛騨高山の奥地・青屋から乗鞍に伸びる登山道を拓いた修験者である。40年の歳月をかけて、彼は自らが住む街から少しずつ、草木をかき分けながら道を作った。さらには、未来に道行く者の安全を祈願して、その両脇に176対の石仏を安置した。その道は今もなお残され、登山を愛する者たちが歩き続けている。
太郎之助を魅了したのは、千町ヶ原の美しい湿原だったという。若くして妻を亡くした太郎之助は、修験者の道に進み、人々の病を治し、災いを予言し、街の平和のために尽力した。彼の功績は子孫や街の人々によって語り継がれているが、その記録は極めて限定的である。
「Carving the Path / みちをひらく(仮題)」は、上牧太郎之助がその登山道を拓くに至った動機、彼がその目で見たヴィジョン、そして20kmに及ぶ登山道という大きな仕事を成し遂げるまでの身体的・精神的な有り様を、その道や集落におけるフィールドリサーチと限られたアーカイヴ、そして今もその集落に暮らす子孫たちとの対話を通して描くことを目指す。

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